ごきげんいかがですか。
むねやんです。
今回は確定拠出年金iDeCo(イデコ)に潜むリスクのお話です。
iDeCoが企業年金と併用可能に
7月29日付の日本経済新聞によると、iDeCoが規制緩和され全会社員が加入できるように検討されているようです。
厚生労働省は全会社員を対象に、希望すれば個人型確定拠出年金(iDeCo=イデコ)に入れるように基準を緩める検討に入った。勤め先で企業型の確定拠出年金に入っていても、追加で個人型のイデコにも加入し、併用できるようにする。少子高齢化の進展で公的年金は先細りが避けられない。自力による資産形成の機会を増やし、老後の備えを後押しする。
まだ検討段階であり、企業年金掛金との合計額上限をどうするのかまだ確定してませんが、いずれにせよiDeCo推進派のむねやんとしては今回の発表を概ね好意的に受け止めています。
iDeCoのメリットおさらい
むねやんがiDeCoをおすすめしている理由は簡単に以下の通りです。
- 掛金が全額所得控除
- 運用益が非課税
- 退職所得控除または公的年金等控除が利用可能
- 差し押さえ財産対象外
- 投資対象商品に初心者向け優良商品が多い
特に1、2は税控除という強力な優遇ですので、将来的に資産増大を目指す投資家にとってはこれとないメリットとなります。
60歳まで原則引き出し不可能という大きなデメリットもありますが、老後の資産形成を目指す目的であるならばそれを補って余りあるメリットがiDeCoにはあると私は考えます。
とはいえ、このタイミングでiDeCoが拡充されたのには少々きな臭さも感じます。
ここは冷静に、この規制緩和が本当に消費者にとって手放しに喜ぶべき吉報なのかどうかを考察してみたいと思います。
Good News OR Bud News?どっち?
老後2000万円問題との関連性
先日から話題になっている老後2000万円問題。
やや偏向報道の感は否めませんが、現行の年金制度をこの状態のままキープするのは非常に困難であるという調査結果はやはり真摯に受け止めなくてはなりません。
このタイミングでiDeCoの規制緩和を発表したのは、この老後2000万円問題と関連性を怪しむのは私の勘ぐりすぎでしょうか?
iDeCoは2017年1月から規制緩和が図られ、加入対象者が増大した実績があります。
従来の加入対象者は自営業者や企業年金のない会社員(約4000万人)でした。
これが2017年の規制緩和で、企業年金のある一部の会社員、公務員、専業主婦やパート(約2000万人)を加入対象にしました。
結果、14年かけて30万人しか増加しなかった加入者は、2年半で4倍の120万人まで急増しています。
出典:日本経済新聞 電子版
今回は今まで加入できなかった企業年金のある会社員(約700万人)への加入対象拡充を狙っています。
企業年金は会社負担であるため、個人負担としてiDeCoに入りたくても入れない状態にあった会社員が、自分の老後のためにiDeCoを利用する可能性は十分にあります。
この動きは「国としてこの先、老後の面倒を国が全て見るのは無理だから、自己責任でどうにかしてね。」という方針転換を暗に示しているのかもしれません。
現役世代から無理やり絞りだそうとしてない?
ポジティブなニュースとは言えない
今回の拡充が年金2000万円問題から生じたものだとすれば、あまりポジティブなニュースとは言えませんね。
本来ならば、若年層の消費を推進して経済を活性化し、景気回復の過程で年金増資枠の拡大を進めるのが健全であると言えます。
しかし今回は、本来、経済活性化の根幹である若年層の手取りから長期凍結口座への資金移動を助長させるわけですから、手放しには喜べないのが実情と言えます。
まあタンス預金にされるよりはまだマシかもしれませんが・・。
退職金との兼ね合いに注意
今回のことでiDeCoの運用資産増加が見込まれますが、企業退職手当をもらうのであれば注意が必要です。
iDeCoは60歳に受け取る際、退職所得控除を受けることができます。
iDeCo退職所得控除枠の計算式はおおよそ以下の通りです。
- 勤続年数(iDeCoの場合は掛金を拠出していた期間)に対し、
・ 20年以下の場合 40万円×勤続年数
・ 20年を超える場合 800万円+70万円×(勤続年数-20年)
これにより、例えば勤続年数30年の人の場合は、800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円までが全額非課税となります。
iDeCoだけであればおおよそ十分な控除枠であると言えますが、気を付けなければならないのは、この控除枠が退職所得と合算して計算されてしまう点です。
会社からの退職金とiDeCo受け取り金を同時に受け取った場合、それぞれで退職所得控除額を計算するのではなく、両方を合計した受取額から、それぞれの勤続年数を元に計算した退職所得控除額を差し引くことにより課税所得を算出することになります。
そのため、iDeCoとは別に多額の退職金を受け取ることができる場合は、退職所得控除の上限を超えてしまう可能性があります。
今回の規制緩和は、企業年金を整備している会社員が対象であるため、退職手当についてもある程度整備されていると考えて良いでしょう。
そうなると、退職手当との兼ね合いには従来の加入者以上に注意する必要があります。
制度改悪の恐れ
iDeCoには60歳まで原則引き出し不可という最大のデメリットがありますが、これが更に悪い結果を生む可能性があります。
それが今後の制度改悪です。
消費税を8%から10%に増税することが話題になっていますが、実はここ数年の社会保険料の方がはるかに税負担が増えています。
「二人以上の勤労者世帯」(全国平均)が負担する税・社会保険料の勤め先収入に占める
割合(以下、税・社会保険料負担率)は、平成の間に 20.6%から 25.7%に上昇した。
その上昇幅 5.1%pt のうちの 4.2%pt は直近 10 年間(2007 年~2017 年)に生じている。出典:大和総研
また、退職手当についても20年前と比べて激減しているというデータもあります。
厚生労働省の調査によると2017年に大卒の定年退職者に企業が支払った退職金の平均額は1788万円となっており、5年前との比較で153万円減少した。20年前との比較ではなんと1083万円も減っている。事実上、退職金は消滅に向けて動き出したといってよい。
出典:現代ビジネス プレミアム
このように、景気低迷が長期化している日本において、サラリーマンへの風当たりは年々、厳しくなっています。
このような動向の中、iDeCoに関する優遇制度が改悪しないと果たして言えるでしょうか?
例えば、iDeCoのメリットである退職手当控除や公的年金等控除が減額される恐れは十分あります。
また、現在は凍結されている特別法人税(国税1%+地方税0.173%)が凍結解除される可能性も捨てきれません。
こういう改悪があった場合、すぐさまiDeCoを止めてしまえば良いのですが、上記しましたようにiDeCoは60歳まで原則引き出しができません。
あまりiDeCoに高額の資金を移動させてしまうと、iDeCoのデメリットがメリットを上回ったとして長期間においてリスクをまともに受ける可能性があります。
それでもiDeCoのメリットは大きい
とはいえ、今回の規制緩和はおおむね好意的に受け止めようと私は考えています。
上記のようなデメリットやリスクはありますが、将来のことを確実に予測することはできません。
ならば、リスクを恐れて機会損失を被るよりも、現状のiDeCoの優位性を確実に享受することが大事ではないかと考えます。
また今回の規制緩和は、企業年金とiDeCoの併用という選択肢を広げることになります。
以前もブログでお話しましたが、人生における選択肢は少ないより多い方がずっと良いと考えます。
iDeCoも強制加入ではないので、企業年金だけで十分な人は加入する必要はなく、非課税のメリットを利用して更に投資をしたい人はさらに資金投入の自由度が増します。
おそらくですが、今回の規制緩和は現状においてある程度iDeCoに資金投入できる余裕のある層において加入者が増えると思われます。
これにより、もしかしたら老後格差が今より更に広がる恐れもありますね。
iDeCoは長期間資金が移動できないデメリットもありますが、一方で長期に渡ってじっくりと資金を増やせる可能性も秘めています。
そして弊ブログで何度もお伝えしてます通り、20年以上に渡ってインデックス投資を長期投資した場合、元本割れするリスクはゼロに近いという海外のデータもあります。
何より、規制緩和により投資人口が増えて、この国の金融リテラシーが少しでも向上してくれれば少しは将来に希望も消えてくるのではないでしょうか?
私は今後も過去の投資データを信じて、長期に渡ってじっくりコツコツと資産形成を図っていきたいと思います。
老後までにまったりリッチになりたいなぁ
「小さなことからコツコツと!」だぞ。
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