米国株高配当ETF【SPYD】を私がオススメしない理由

ごきげんいかがですか。
むねやんです。
今回は、高配当再投資戦略家にも人気のETF、ステート・ストリート社「SPDR®ポートフォリオS&P500®高配当株式ETF」【SPYD】のメリット・デメリットについてお話しします。

なお、以下は2020/4/28現在の情報を基にお話ししています。

まずは結論

まず結論から述べますと、【SPYD】は市場平均を上回る可能性を持ったETFだと思いますが、私にはちょっとリスクが高いと思われるので買わないようにしています。

その理由について詳しくお話します。

SPYDとは?

【SPYD】とは「S&P 500 High Dividend Index」のティッカーであり、米国State Street社が取り扱う高配当ETFです。

ステートストリート・グローバルアドバイザーズ

ティッカー SPYD
名称 SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF
基準価格 $27.70
運用会社 State Street
連動指数 S&P500高配当指数
設定日 2015年10月21日
純資産総額 $1,792.35(百万米)
経費率 0.07%
決算回数 4回(3,6,9,12月)
組入銘柄数 77
EPS 2.56%
配当利回り 6.69%
PBR 1.25
予想PER 13.41

 

米国株高配当ETFは、代表例として他にもバンガード社の【VYM】やブラックロック社の【HDV】がありますが、【SPYD】には以下のような特徴があります。

【SPYD】の特徴
  • 組入銘柄が均等加重平均
  • 構成銘柄はS&P500のうち、配当利回りの高い約80銘柄
  • ETF群のなかでも配当利回りが高め
  • 小型株率が高い
  • 組入銘柄最大セクターが不動産
  • 経費率が安い
  • 1口単価が安く買い増ししやすい
むねやんむねやん

効率的市場仮説を否定した均等加重平均は、より人の意思を排したをクールな分散投資法だと思います。

SPYDが人気の理由

高配当ETFを狙う理由は主に以下の2つではないかと思います。

【SPYD】のメリット
  • 高いインカムゲインを狙える
  • 高配当再投資戦略に適している
  • ダウの犬戦略に適している

これらは個別株でも運用可能ですが、適度に分散し且つリバランスをプロが低コストで行ってくれる高配当ETFは初心者にもオススメの銘柄だと思います。
高配当再投資戦略については、ジェレミー・シーゲル著『株式投資の未来』をご参照下さい。

シーゲル氏は著書において「株主の累積リターンの97%は、配当再投資が生み出してきた。」と唱えており、市場平均を上回るパフォーマンスを期待できる投資法として近年の米国株投資人気の投資法でもあります。

むねやんむねやん

かくいう私も、資産の一部を米国株配当再投資戦略に注ぎ込んでおります。

1871年から2003年にかけて、インフレ調整ベースで、株主の累積リターンの97%は、配当再投資が生み出してきた。値上がり益が生み出した部分は3%にすぎない。

株式のリターンは、企業の増益率そのものではなく、それが期待に対してどうだったがで決まる。配当が高い銘柄は大抵、投資家が収益見通しに過剰に悲観的になっているので、結果的に株価が適正水準を下回り、リターンは平均を上回る。配当を維持する限り、株価の下落は配当利回りの上昇を意味するので、株価が下がるほど、投資家の保有株積み増しペースが加速する。やがて株価が戻れば、第10章で説明した通り、リターン加速装置の魔法が働く。

私がSPYDを買わない理由

このように【SPYD】は米国株配当再投資戦略もとれ、また高い配当利回りも狙える銘柄であり、ここ1〜2年でネットの米国株投資家にも人気の上がっている銘柄ではあります。

しかし私は【SPYD】の購入の購入を見送っております。
それは以下の理由からです。

小型株の割合が多すぎる

1つ目の懸念は、小型株が多いことでボラティリティが高まるという点です。

 

他の高配当ETFが時価総額加重平均型が多いのに対し、【SPYD】は均等加重平均型をとっています。

時価総額加重平均型は資産規模の大きいに比例した構成割合となるため、必然的に大型株の割合が多く、小型株の割合は少なくなります。

一方、均等加重平均型は大型株から小型株までどの銘柄も近しい割合に均等分散しています。

 

例えば、高配当ETF【HDV】の構成銘柄のうち、上位10社の占める割合は62.02%、下位10社の占める割合は0.5%です。

対して【SPYD】の構成銘柄のうち、上位10社の占める割合は19.52%、下位10社の占める割合は7.43%です。

 

大型株は企業価値として成熟されているものが多く、株価も配当も比較的安定的です。

一方、小型株は今後の成長が不透明であり、企業価値が急に高まるチャンスもあれば、突如倒産するリスクも大型株より高いです。

 

また小型株は好景気において株価が大きく上がる傾向にありますが、一方不景気には大きく下がるとも言われています。

例として、アメリカのS&P500指数ETF【SPY】とアメリカ小型株バリュー指数【VBR】のリターン(配当込み)を比較してみます。

すると、リーマンショック以降の2009年から2017年までの上昇相場において【VBR】は市場平均を上回るパフォーマンスを見せていますが、2018年以降に景気後退においては市場平均以上の下落が起こり、現在は【SPY】に大きく逆転されています。


 

小型株はチャンスも大きいがリスクも高い!

【SPYD】を保有するということは、【SPY】や【VOO】以上の高ボラティリティに耐えうるメンタルとリスク管理が求められるということです。

 

なお、「ダウの犬戦略」についても一応お話しておきます。

「ダウの犬戦略」とは「12月31日時点の株価で、NYダウを構成する30銘柄の配当利回りを算出し、配当利回りが高い上位10銘柄をそれぞれ同じ金額で一括購入し、翌年に同様の手順でリバランスする」投資法であり、市場平均を上回ると期待される人気の投資法です。

この投資法を【SPYD】でもできるのではないかというご意見もありますが、ダウ高配当上位10種と比べると【SPYD】はやはり小型株の割合がやや多いので、リターンに少なからず影響を与えるのではないかと予想しています。

ただ、この点に関してはまだ詳しく分析できておらず、あくまで私の直観の域を脱していないので今回は言及しないこととします。

組入銘柄に知らない企業が多い

2つ目の懸念は、組入銘柄に自分の知らない、またはあまり好みではない銘柄が多い点です。

 

たとえば、米国株高配当ETF【VYM】の構成上位10銘柄は以下の通りです。

米国株投資家は当然ながら、あまり投資に興味のない方でも聞いたことのある世界的有名な企業がずらりと軒を連ねています。

【VYM】保有銘柄上位10社
Johnson & Johnson
JPMorgan Chase & Co.
Procter & Gamble Co.
Intel Corp.
Verizon Communications Inc.
AT&T Inc.
Merck & Co. Inc.
Pfizer Inc.
Coca-Cola Co.
Cisco Systems Inc.

一方、【SPYD】の構成上位10社は【VYM】に比べると知名度の低い企業がちらほら見受けられます。

【SPYD】保有銘柄上位10社
Gilead Sciences Inc.
Digital Realty Trust Inc.
General Mills Inc.
Crown Castle International Corp
AbbVie Inc.
Kraft Heinz Company
Cardinal Health Inc.
Pfizer Inc.
Verizon Communications Inc.
Kellogg Company

知名度が低いと上記しましたが、日本人にとって馴染みが薄いというだけでどれも大企業には違いありません。

それに知名度が低い不人気株は、裏を返せば割安に放置されている優良株かもしれません。

事実、『株式投資の未来』によれば1957年~2003年において米国株式最大のリターンを叩き出した銘柄は、健康被害による訴訟が相次ぎ長年にわたって極めて不人気であった高配当タバコ企業、フィリップ・モリスでした。

こういう企業を安いうちにコツコツ買い増ししておくと後に大化けする可能性も十分あります。

 

ただし、配当の高い企業は企業としてかなり成熟した企業が多く、今後の企業としての急成長は期待できないとも言えます。

また不人気株はGAFAMと比べて単純にトレンドではないとも取れますが、一方で企業としての将来性がないと投資家から見放されたオワコン企業の可能性も捨てきれません

S&P500指数に名を連ねる大企業ですからそう簡単に倒産するとは考えにくいですが、過去にはリーマンブラザーズほどの大企業でも急に倒産することもありましたし、また最近のコロナショックでは、ボーイングやエアバスなどの大企業でも倒産を噂されることもあり、いつ株式が紙くずになるとも限りません。

 

ならば、せめて自分の大事なお金を預ける企業は、自分が信用できる企業にしたいと思ってます。

大企業だからといって倒産しないとは限りませんが、かといって自分がよく知らない企業にお金を預けるよりは、企業ブランドが高く馴染みのある企業に投資した方が、暴落に合い損した場合でも納得できると思うのです。

私は小心者ですので、大きく勝つことよりもなるべく負けない投資、退場せずに長く継続できる投資を目指したいです。

 

また【SPYD】の構成銘柄の最大セクターは不動産セクター17.34%)であり、『株式投資の未来』において高いリターンを出したヘルスケア、生活必需品、エネルギーセクターの割合が少ないのも不満要素の一つです。

【SPYD】セクター構成比率
不動産 17.54%
金融 13.06%
一般消費財・サービス 12.82%
エネルギー 11.31%
生活必需品 10.65%
公益事業 9.91%
ヘルスケア 7.40%
素材 7.05%
コミュニケーション・サービス 5.77%
情報技術 4.50%

 

減配リスクのやや高いと予想する

高配当狙い、また配当再投資戦略において非常に重要な要素のひとつに「連続増配銘柄」があります。

日本では企業業績が少しでも不振に陥るとたやすく減配や無配になりやすいですが、アメリカには過去のあらゆる不況下でも配当金を増やし続けた企業、俗にいう配当貴族(25年以上連続増配)が約140社存在します。(日本では花王の1社のみです。)

配当金を狙う投資家にとって減配や無配は絶対に避けたい要素ですが、この配当貴族銘柄が【VYM】の構成上位10銘柄に4社存在するのに対して【SPYD】には1社もありません。

保有上位10銘柄のうち、25年以上連続増配銘柄
【VYM】
Johnson & Johnson 連続57年
Procter & Gamble Co. 連続63年
AT&T Inc. 連続36年
Coca-Cola Co. 連続58年
【SPYD】
なし

保有全銘柄に対する配当貴族の割合は時間の都合上、調べきれませんでしたが、【VYM】が時価総額加重平均型を採用している以上、上位10銘柄に配当貴族が4社存在する【VYM】の方が配当貴族の割合が多いのではないかというのが私の予想です。

【SPYD】が【VYM】に比べてかなり高い配当利回りを出しているのは事実ですが、仮に構成銘柄に減配や無配が起これば対象企業の株価は下がる他、組み入れの入れ替えが起こるため基準価格が大きく下がる恐れがあります。

事実、先日も【SPYD】保有銘柄のフォードモータース【F】がジャンク債格下げ&配当停止を発表しました。

フォードがジャンク債市場に復帰の準備、1-3月は純損失20億ドル

 

「連続増配銘柄をストロングホールド&配当再投資」戦略をとっている私にとって、減配リスクのある銘柄はなるべく少なくしておきたいので【SPYD】は少し心もとないと考えています。

現状【SPYD】の採用は保留としたい

以上の理由で、私は【SPYD】の購入を控えております。

これは決して【SPYD】が悪い銘柄だと申しているわけではありません。

あくまで私の投資の好みやリスク管理とマッチしないというだけです。

 

勿論、【SPYD】が将来的に市場平均や他の高配当ETFの成績を上回る可能性は十分にあります。

ただし、その逆の可能性も勿論あります。

現在のところ、過去3年間の高配当ETFのリターンは軒並み市場平均に負けています。


結局のところ様々な投資本でも述べているように、未来の事は誰にも予想できませんし、未来が過去のデータの延長上にあるとは限りません。

なので【SPYD】に投資したのが正しいのか、他の高配当ETF【VYM】や【HDV】に投資した方が正しいのか、それとも大人しくS&P500インデックスに投資した方が良かったのかは未来になってみないと分からないのです。

要は現在、自分が納得して投資できていればそれで良いのかなと私は思います。

そうすれば未来において、後悔する事もグッと少なくなるはずです。

 

投資は資産を増やすチャンスでもありますが、資産が減るリスクも持ち合わせています。

どんな結果になろうとも、大きく損害を被っても、それを受け入れられるような投資戦略とリスク管理を保ちながら、今後も投資を続けていきたいですね。

むねやんむねやん

まあこれだけ頭ひねらせても、結局【SPY】や【VOO】に現状負けてるんだけどねぇ。

はるやんはるやん

楽しんで投資できたらそれでいいんじゃね?

まとめ

今回のまとめ
  • 【SPYD】は高配当ETFとして申し分ない商品だと思う
  • ただしボラティティが高く、連続増配銘柄も少なめなので好みではない
  • 高配当再投資戦略は今後も【VYM】や【HDV】をコアにしていきたいと思う

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