つみたてロボ貯蓄は絶対にやめておけ!デメリットを徹底解説!

ごきげんいかがですか。
むねやんです。

今回はOne Tap BUY社が発表した新サービス「つみたてロボ貯蓄」についてのお話です。

「つみたてロボ貯蓄」サービス開始

One Tap BUY社が2019年5月20日(月)より定期高分配・高配当型サービス「つみたてロボ貯蓄」を開始しました。

スマートフォン(スマホ)専業証券のOne Tap BUY(ワンタップバイ、東京・港)は20日、定額積み立てアプリ「つみたてロボ貯蓄(ロボ貯)」のサービスを始めた。証券化商品や上場投資信託(ETF)を毎月買い付け、用意した7銘柄は分配金や配当が定期的に出る仕組み。預金金利が低迷するなかで利子の代わりになるメリットを訴え、中高年層の需要をつかむ。

最低投資金額は1銘柄につき毎月3万円からで、年利2.63~8.70%(4月末時点)の商品をそろえている。最も利回りの高い銘柄「ARCCエイリスキャピタル」は配当が3カ月に1度出る。残り6種類は毎月分配型だ。

利回りは米国の中小・新興企業に投資したり、新興国債券に投じたりすることで確保できるという。

20日に都内で開いたロボ貯の発表会でワンタップバイの林和人社長は「毎月分配型投信へのニーズは一定程度ある」と自信をみせた。

日本経済新聞

同社はスマートフォン向け投資サービス「One Tap BUY」で有名ですね。

「資産運用を、より身近に」をコンセプトに、わずか1000円から株式投資を始められるこのサービスは、投資に疎い若者世代からも受け入れやすいサービスに仕上げていることから非常に注目が集まりました。

私は「One Tap BUY」は始めてはおりませんが、デザインもカラフルで楽しみやすく、また数タップで手軽に株式投資を始められる同社サービスは、資産運用や金融リテラシーをより広める良いツールになるのではないかと期待しております。

 

そんな同社が打ち出した新サービスですが、正直言って、非常にガッカリしました。

サービスの質そのものというよりは、名称からして消費者に誤解を与えやすい紛らわしい商品だったからです。

簡単に商品を解説

同サービスには、

  • 高分配・高配当コース
  • 積み株コース

の2つがあります。

高配分・高配当コースは今回新設された新しいサービスで、ETFやBDCを取扱います。

積み株コースは、従来の「One Tap Buy」と同じもので、アメリカ株式市場に上場している優良企業が購入できます。

 

以下は新サービス「高配分・高配当コース」に絞って解説していきます。

  • 投資金額は1銘柄につき毎月最低3万円~(1万円単位)。
  • 高い配当金や毎月分配金がある商品に厳選してある。(最大年利8.7%:4月末時点)
  • 毎月自動買付、自動売却が設定可能。
  • 投資信託と違って手数料がかからない。
  • 指定銀行と提携すると、銀行から自動で買い付けが可能

商品はシニア向けに、毎月分配型、または3か月毎分配型など定期的に配当金が返ってくる7銘柄に厳選しているようです。

 

これら商品自体には特に問題視しようとは思いません。

確かに毎月分配を求める消費者は多いですから、こういったニーズに答える商品を提供するのは悪いことではありません。

 

ただ、商品説明について色々とツッコミどころが多すぎます。

これって本当に消費者のためを思って作った商品なのかはなはだ疑問です。

 

私が不満に思っている点

「貯蓄」は誤解を誘導する表現

最も気に入らない点を始めにお話しさせて頂きます。

商品名に「貯蓄」という言葉を付けているのがそもそも不満です。

 

まず貯蓄とは

ちょ‐ちく【貯蓄】

 財貨をたくわえること。また、その財貨。「将来に備えて貯蓄する」「財形貯蓄」
 所得のうち、消費されないで残った部分。

出典:小学館 デジタル大辞林

のことを指します。

簡単に言いますと、貯金は「お金を貯める」ことを指しますが、貯蓄は「お金を含む様々な資産を貯める」ことを意味します。

 

しかし、正直、「貯蓄」「貯金」「預金」の違いをハッキリと認識できてる人は少ないです。

「貯蓄」というと、銀行の普通預金や貯金箱にコツコツ貯めていく「無リスク資産」をイメージする人が多いです。

 

日本人は「貯金」や「貯蓄」という言葉に非常に弱く、詐欺師やボッタクリ商品を売りつけるときに

「これは貯金みたいなものですよ。」

という殺し文句があり、これを言うだけで不思議と相手の警戒心が解けるんだそうです。

 

しかし当たり前ですが、「つみたてロボ貯蓄」は無リスク資産でありません。

これは同社HPにもはっきりと書かれています。

証券取引は、株価(価格)の変動等、為替相場の変動等、または発行者等の信用状況の悪化や、その国の政治的・経済的・社会的な環境の変化のために 元本損失が生じることがあります。

出典:One Tap Buy HP

こんなのは投資をやってる人間からすれば当たり前なのですが、わざわざ「貯蓄」というワードを無リスク資産風を装い、シニア世代の警戒心を緩めようという計略は如何なものかと思います。

どこが「ロボ」なの?

同サービスは名前に「ロボ」とついてるくらいですから、私はてっきり「ロボアドバイザー」的なシステムが付いてるのかと思ってました。

しかし、同サービスが提供している自動サービスは「自動定期買付」「自動定期売却」です。

銘柄を選択するのは自分自身であり、リバランスも自身で行います。

 

一見、便利なようですが、でもこれって「つみたてNISA」でやってることとほとんど変わりませんよね。

自動売却こそありませんが、自動定期買付なら従来のサービスとやってることは一緒です。

ロボと名付けてる割には、別段、大きな活躍はしてません。

 

また個別株と違って複数の銘柄を分散して購入できるメリットはあるものの、それはBDCやETFそのものの性質であって、それを買えば誰でもついてくるサービスです。

One Tap Buy社はBDCやETFというパッケージ商品の購入を仲介しているだけであり、やってくれてるのはETF等の運用会社のスタッフです。

これも誤解を生みかねない商品説明だと思います。


むねやんむねやん

言うほど大したことはやってないな

信託報酬はかからないが、経費はかかる

プレスリリースでは、今サービスは「投資信託とは異なり、手数料などは不要」とうたっております。

確かにロボ貯蓄「高配当コース」は手数料や信託報酬はかかりません。

ただし、買付手数料のかからないノーロード投資信託はたくさんありますし、そもそも投資信託のように「信託報酬」はかからないでしょうけど、買い付けるETFそのものの経費は当然かかります。

PFFなら0.47%/年ですし、TLTなら0.15%/年の経費率がかかります。

この辺も商品購入の際には当然、説明してくれるとは思うんですが、HPやプレスリリースの説明だけではちょっと言葉足らずではないかと思いますし、ネット購入ならば目論見書だけデータで渡してサッと終わらせそうな気もしますね。

 

高配当が保証されてるわけではない

HPを見ると、高配当、高分配金が太字で全面に押し出されています。


ただ、これも当たり前の話ですが、定期預金と違ってこの額面の金利が今後も継続される保証はありません。

これは同社HPにも掲載されています。

将来の分配金/配当金の支払い及びその金額について保証するものではありません。運用状況によっては、分配金/配当金が支払われない場合があります。

しかも同社シミュレーターには、手数料や税金と言ったコストが含まれていません。

外国株を扱うなら当然2重課税などのリスクをあるのですが、この辺りの説明はちゃんとされているのでしょうかね?


むねやんむねやん

こんなにうまくいくかな?

商品に高リスク資産が混じってる

同サービスの商品群を見ると、一見、債券系ETFなどのディフェンシブ銘柄が揃っているように思います。

確かに、PFFもTLTも債券系ETFとして非常に優れた商品ですし、それらをポートフォリオの一部として購入するのは悪くないと思います。

実際、暴落にそなえてリスク資産の一部をPFFにする投資家さんもよく見かけますし、自分のリスク許容度に合わせた良い判断だと思います。(私は買ってませんけれど。)

 

ただこのHPの書き方、「つみたて」とか「ロボ」とか「貯蓄」とかいうワードを組み合わせることで、さも「ほぼ無リスクで高配当」な商品のように誤解させる恐れがあります。

特に【ARCC】は高配当銘柄として商品群のトップに鎮座していますが、(Business Development Company)は融資の厳しい中小企業に対して投資を行う結構リスクの高い商品です。

BDCが投資対象としている新興企業等は、リスクの高さから銀行からの融資を受けることが一般企業に比べ困難な傾向にあります。そのためBDCはこれらの企業へ投資することでより高いリターンを獲得することが可能となります。また、BDCは金融支援だけでなく経営支援も積極的に行ない、投資企業を上場させることで大きなリターンを獲得することが可能となります。

出典:投信資料館

当たり前ですが、ハイリターンであればリスクやボラティリティを高くなります。

ノーリスク&ハイリターン、もしくはノーリスク&ハイインカムゲインなんて商品はありません。

もしそんな商品があったら、「そんなに上手い話があるのかな?」と疑問に思うべきです。

 

さらに、同サービスで最も年利配当の高いBND【ARCC】と年利配当の高いETF【PFF】、年利配当の低い【TLT】、そしてアメリカ主要指標S&P500と連動する【SPY】のパフォーマンスを調べると以下の通りです。

  • 過去10年間パフォーマンス


いかがですか?

確かに過去10年間を見ると、【SPY】の方が最終パフォーマンスは高いものの、調査開始5年間くらいは【ARCC】の方が高いパフォーマンスを見せています。

しかし、これは過去10年間がずっと右肩上がりで経済も好調であったためです。

上昇経済のときは、中小企業への投資が高リターンを生みがちです。

 

ではこれが世紀の大暴落、リーマンショックを挟むとどうなるでしょう?

  • 過去12年間パフォーマンス(リーマンショック以降


いかがですか?

株式資産債券資産は逆相関の関係である言われるだけあって、リーマンショック直後、【SPY】は最大-51%にまで資産を下げたのに対し、【TLT】は逆に資産を最大37%アップさせています。

 

そして注目してほしいのが【ARCC】ですが、何とリーマンショック後は最大-80%にまで大暴落させています。

その後の回復を見ても、最後まで【SPY】や【TLT】を超えることはありませんでした。

 

弊ブログでは読者の皆様にとって、なるべく堅実でリスクの少ない商品を私の知恵の限りご紹介させてきました。

ひとえに私むねやんが超絶ビビリだからなわけですが、そんなビビリな私が紹介を避けてきたBDCをまさかシニア向けに売ろうと言うのでしょうか?

これほどのリスクがある商品だとちゃんと同社はお客様に説明できているのでしょうか?

 

直近10年以内ならパフォーマンスも抜群ですから、言い方さえ上手くやれば旨味しかないように思わせられますよね?

まあ私なら証券窓口で【ARCC】を一番に勧めてきたら、その担当はかなり警戒しますね。

ちょっと上級者向けの商品ですし。

 

まとめ

大変、厳しいことを申し上げますが、「つみたてロボ貯蓄」は

情報弱者のシニア世代に、高配当・毎月分配をエサにしたハイリスク商品を、「つみたて」「貯蓄」「ロボ」といった安易なワードで安心させて売りつけようとする」不誠実なサービスだと思います。

 

断っておきますが、取扱商品の内容自体はそこまで悪いものではないのです。

【ARCC】も使い方さえ間違いなければ年利8%を超える高配当銘柄ですし、【PFF】や【TLT】などの優良なディフェンシブ銘柄も良い選択肢です。

 

ただ、One Tap Buy社のプレスリリースやHPの解説を見ると、どうも「無リスクで高配当な商品を手間も手数料がほとんどかからずに買えますよ。」と誤解を与えかねない説明が多すぎます。

銀行から「リバースモゲージ」を紹介されたときと同じようなうさん臭さを感じずにはいられません。

メリットだけじゃなくてデメリットもちゃんと説明しなければ顧客志向、カスタマーファーストとは言えないのではないでしょうか?

商品をどう使うかは人それぞれですし、消費者側も無リスクでリターンを狙うような虫の良い話なんてあるわけないことにきづくべきではあります。

ただそれでもこの低コストファンドが増え始め、やっと投資しやすい雰囲気作りが出来始めている昨今、今さら消費者に誤解を与えかねない情報を発信するのは、いくら商売とはいえ如何なものかと思います。

 

 

結局、One Tap BUY社も、情報弱者にコストの高いぼったくり商品を売りつける既存の証券会社や銀行と同じになってしまいましたか。

まあこういった商品なんてどこの会社でも取り扱ってますし、同社のみを責める訳ではありません。

 

ただ、HPにも

One Tap BUYは技術革新をバックヤードにお客様にとって「何よりも簡単」で「最も使いやすい」証券会社を目指しています。

世界人口と世界経済の拡大の恩恵を受け、長期的観点から成長資産として魅力を増してゆくものと信じています。

株式投資の醍醐味とワクワクをぜひ体験してください。

って、同社の林和人CEOも仰ってましたし、私もそのビジョンには非常に賛同していたのですけれどね・・。

これじゃあ逆に、投資に対する警戒心をさらに高める結果になりかねませんよ。

 

応援してただけに、ただただ残念です。

サヨウナラ、One Tap BUY

 

結論

はるやんはるやん

お前、そもそもOne Tap BUYやってなくね?

むねやんむねやん

自分で売買した方がコスト安いからね!( ー`дー´)キリッ ←ドケチ

Ate breve! Obrigado!



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